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ごんぎつね

思う以上に、「シャッフルトレーニング45番殺人事件」が長引きそうです。
もちろん、最後まで書き上げたいと思っていますが、このままだと英語学習のブログなのに、現在の学習について、何にも書かなくなりそうなので、たまには「現在の状態」について書こうと思います。

さて。
瞬間英作文シャッフルトレーニング、前半は終了しました〜!
では後半……と思って取り組んでみたら、思った以上に難しかった……ので、しばらくはシリウスジュニア君の復習をすることにしました。
同時進行で、精読・音読とたまに多読を組み入れて、そろそろ大好きな読書への移行を考えています。
でも、シリウスジュニア、精読(ペンギンリーダーのレベル1の「TWENTY THOUSAND LEAGUES UNDER THE SEA」を使用、終わったら、オックスフォードブックワーム3の「THE PICTURE OF DRIAN GRAY」をやる予定……ドリアンやるのが楽しみです〜。光文社新訳文庫で読んで、とっても面白かったので。いつか、本当の原書を読みたい)、たまに多読……だと、耳から入れる分が全然ないのですね。そこで、先日、「[速読・速聴]日本名作編」(鹿野晴夫著 IBCパブリッシング)を購読。昨日からはじめました。
これの世界名作編もあったのですが、なぜ日本名作にしたかといえば、単に好みの作品が多かっただけです。
なんせ、新美南吉「ごんぎつね」に宮沢賢治「風の又三郎」。……小川未明の「赤い蝋燭と人魚」が入っていないのが惜しいところです。次作にはぜひ! ついでに太宰は「正義と微笑」か「人間失格」でよろしく! ……って誰に言ってるんでしょうね、私。

まあ、それはともかく。

「ごんぎつね−1」の英訳を見ていて、面白いなーって思った部分がありました。

日本文だと、こう。↓
「前に話していたことだがーーそれはどこぞの神様のしわざに違いない」
(中略)
「今、お前は独りぼっちだから、どこぞの神様がお前をかわいそうに思っている。神様がクリや何やらをお前にあげているんだ」
(中略)
「だから、お前は神様に感謝しなくちゃいけない」

まあ、本当はごんだよ……ってのはともかく、別に普通の文です。どこぞの神様ってところが、八百万信仰深い、日本っぽい感じがします。

で、英文だと、こう。↓
"The thing you were talking about before--that must be the work of one of the gods."
……one of the gods.一神教の世界には出てこない表現でしょうね。

"Since you're all alone now, some god feels sorry for you. The god is giving you the chestnuts and things."

some god……これは、「ある神様」って意味ですね。(動詞に三人称単数のsがついているし、その次の一文もisだし)どこぞの神様=some god.
まあ、どんな神様かわからんが、どっかの神様だろ……そんないい加減さを感じます。

そして、これ。

"So you should thank the gods."
the gods.複数形です。
兵十に色々あげてたのは「(1人の)ある神様」という考え方だったのに(ということが三人称単数を使っていることからも明らか)、感謝するのは、複数の神様。
これは、どういうことなのか?
私は、これぞ八百万信仰なのだと思います。
「どこの神様かわからんが、どっかの神様だから、たくさんの(複数の)神様に感謝しておけ。その中に、お前さんによくしてくれた神様もいるだろうよ」という、非常にアバウトな、そして日本人らしい神様観が、ここには表れているのではないかと思うのです。
私自身、「ついてるっ!」と思った時、「どこの神様かわかりませんが、ありがとうございますー」と、考えることが多々あります。
自分を基準に考えてはいけないのかもしれませんが、あっちこっちに神社があり、しかも町ではどっちの神様のお祭もしてしまうあたり、日本人の基本的宗教観ってこんなものではないかと思うのです。

それが、some godと"So you should thank the gods."に見事に表れているような気がします。

この英訳した人、すごい!(元はラダーらしいです)

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シャッフルトレーニング45番殺人事件 9

 白い車が別荘の門をくぐった。
「竹芝!」
「だんなさま……今日、こちらへ来る予定でしたか?」
「いや。家のおてんば姫が来ているんじゃないかと思ってね……瑠璃。竹芝の後ろに隠れてもムダだよ」
「あら、ばれちゃってたのね」
 瑠璃は洋平の後ろから顔を出し、ふふっと笑った。
「起きたら瑠璃がいないって、大騒ぎだったよ。夏休みだから、きっとここだろうと思ってね。車を飛ばしてきたんだ。母さんも後から電車で追いつくよ。……おや、透は?」
「勉強だって言って、部屋へ戻っちゃったわ。最近、付き合いが悪いったらありゃしない」
「透は高校三年……そろそろ受験か。竹芝、あいつはどこの大学を志望しているんだ?」
「それが……高校を卒業したら、私の跡を継いで、ここの別荘番をしたいと申しております」
「ほう……」
「私は、進学してもかまわないと、それくらいの貯金はあると言っているのですが、本人が聞かないのですよ。私とあなたには恩がある、早く一人前になって、恩返しがしたいと……その気持ちは嬉しいんですが、なんだかかわいそうでなりません。私自身は、もっと広い世界を見てほしいのですが」
「そうだな。学費は私がどうにでもする……と言っても、あれはダメなんだろうね。どうしたものか……おや。瑠璃は?」
 洋平が後ろを振り返った。いつの間にやら瑠璃がいなくなっている。

   ☆

 瑠璃は、二人が話をしている隙に、館の中へと入っていた。
 一階の東、一番はじの部屋が、透の部屋だ。
 瑠璃は、その部屋をノックした。
 返事はない。
 ドアノブを回してみた。鍵がかかっている。
(居留守使おうったって、そうはいかないわ)
「透、いるんでしょ? 出てらっしゃい。さもないと、強硬手段に出るわよ」
 瑠璃は思いっきり、ドアに体当たりした。

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シャッフルトレーニング45番殺人事件 8

「透、どうだね。庭のほうは」
「大方すみました。お父さん」
「そうかね。一休みしようか」
「はい。絵を描いてもいいですか」
「ははは。透は本当に絵が好きだな。いいよ。いつものところだろう。後で麦茶を持っていくよ」
「ありがとう」
 透は部屋に戻ると、絵の具とキャンパスを持って、西側の大きな木の根元に腰をおろした。ここからの庭の眺めが、透は好きだった。
 ひまわりに焦点を合わせ、下書きをはじめようと鉛筆を持つ。
「透っ」
 上から声が降ってきた。
「お、お嬢さま?」
 透が見上げた先に、瑠璃の笑顔があった。
「いつ、こちらへ来られたんですか」
「今朝よ。驚かそうと思って待ってたのに、透ったら、ずーっと働いていて、気づかないんですもの」
「お嬢さま、危ないですから降りてください」
「い・や・よ」
 瑠璃はぷいっとそっぽを向いた。
 透ったら、いつからこんな堅物になっちゃったのかしら。
 昔は、透が木登りを教えてくれたって言うのに。
「お嬢さまに傷がついたら、だんなさまが哀しみます。降りてください」
 あなたは、哀しまないの? 透。
「お嬢さま!」
「わかったわ。降りるわよ。受け止めてちょうだい」
 瑠璃は木から飛び降りた。
 もちろん、飛び降りても、怪我をしないとわかっている高さだからこそ、できたことだ。だが、透はあわてて瑠璃を抱きとめようと両手を広げた。
 透の固い腕に抱きかかえられ、瑠璃はドキッとした。
「透! 何をしている!」
 麦茶を持った竹芝が、大またで歩いてくる。
「私が木から飛び降りたから、透が受け止めてくれたのよ。透のおかげで怪我をしなかったわ。ありがとう」
 にこっとほほ笑む瑠璃は、母親に似て美しかった。
「お嬢さま……お願いですから、そういう心臓が縮むようなことをなさらないでくださいまし。もしお怪我でもしましたら、だんな様になんと申していいのか」
「大丈夫よ。心配性ね、竹芝は」
「18にもなって、木登りをすること自体がどうかと俺は思いますけどね」
 はき捨てるように透が言った。
「透! お嬢さまに向かってなんてことを!」
「……失礼。俺、勉強がありますんで」
 透は白いキャンパスを抱えて、二人の元を去った。

 いつから、あんな風になっちゃったのかしら。

 瑠璃は、去ってゆく透の後姿を見ながら、考えた。

(つづく)

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コーヒーを飲みながら(over a cup of coffee)

物語の途中ですが、ここらでちょっと息抜き。

近くにリスニングカフェ? っていうんですかね、そういうのができました。
退職した方が、趣味でやっているらしいです。
元はCDショップだったんですが、今月から、中でコーヒー飲みながら音楽を聴く店になりました。(CDの注文も受け付けているみたいです)
メニューはコーヒーとアイスコーヒーのみ。
普段はジャズが流れています。
でも、クラシックならば、リクエストをするとかけてくれます。
先日は、バッハのバイオリン無伴奏ソナタをかけてもらいました。
コーヒーを飲みながら、ゆったりとクラシックを聞くのはとてもいいです。

It is a lot of fun for me to listening to the classical music over a cup of coffee.
……合ってるかな?

バッハを聞きながら、心のもやもやをノートに吐き出していたら、だんだんポジティブな気持ちになりました。

今度はインベンションかけてもらおう……なんて思いながら、昨日は家でカフェオレ飲みながら、ブラームスの交響曲第一番をかけてました。

でも、衣替え時は特撮ソングかけてました。(サンバルカンがお気に入りです。途中で思わず「太陽ジャーンプっ」と叫んでしまうのは私だけではないはずだ)
我ながら極端だなーと思います。

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シャッフルトレーニング45番殺人事件 7〜The famous painter painted the picture when he was seven years old.

(うっひゃあ、大きなお屋敷だなぁ)
 透は車の後部座席の真ん中で、固くなっていた。
 こんな立派な車に乗るのも初めてなら、こんな大きなお屋敷に入るのも初めてだ。
 グレーのブレザーの襟が、首にあたってちくちくする。
 なんだか、とっても居心地が悪い。
 透はぎゅっと手に持った筒をにぎった。この中に、瑠璃へのプレゼントが入っている。伯父が用意してくれた筒に、お菓子の箱についていたリボンをかけた。別荘の居間では、金色のリボンがとっても立派に見えたが、今はなんだかみすぼらしく感じる。
「さあ、ついたぞ」
 透の隣では、主人である秀彦がにこやかに笑いながら、あの木は何だとか、あの彫刻は誰のものだとか説明している。なんだか、自慢されているみたいだな、と、透は思った。
(おじさん、大人気ないよ……)
 心の奥でそっとあっかんべをして、大きな玄関をくぐった。
「透!」
 瑠璃がかけよってきた。
「瑠璃ちゃん……お、お誕生日おめでとう」
 ピンクのドレスにばら色の頬の瑠璃は、別荘で会った時よりも可愛く見えて、透はどきどきした。
「ね、どう? 似合う?」
 瑠璃はくるっと一回転して見せた。
「うん。お姫様みたいだ」
「ありがとう。透も素敵よ」
「ぼくは……」
 全然ダメだよ、首がちくちくして、こんな服、好きじゃないよ……心の中でそっとつぶやく。
「来て! こっちよ」
 瑠璃は透の手を引いた。
 間違いなく瑠璃の手なのに、なんだか知らない女の子みたいな気がして、透の心にぽつんと一つ、波が立った。

   ☆

 客を集めた広間では、大人たちが談笑していた。
 手にワインやシャンパンを持ち、上品に出されたご馳走を食べている。
 透は、1人、ただもじもじしていた。
 おいしそうな料理が並んでいるけれど、なんだか食べる気がしない。
 隣のおばさんの笑い声は耳障りだし、向かいのおじさんのかつらがずれているのも気になる。
 何より、瑠璃が遠かった。
 いや、席の位置としては遠くはないのだが、大人に囲まれても平然と笑いながら、上手にナイフとフォークを使ってご馳走を食べている瑠璃は、透の知っている瑠璃ではなかった。
 透は、筒をにぎりしめた。
 本当はおめでとうといって渡すつもりだったプレゼント。
 だけど、先ほどから瑠璃に渡されるプレゼントの山を見たら、気後れして出せなかった。
 大人たちが、デパートの包装紙に包まれた大きなプレゼントを瑠璃に渡す。
 瑠璃は喜んで箱を開ける。すると、可愛らしい人形や綺麗な洋服が現れる。その度に、瑠璃は満面の笑みを浮かべる。
 あんな立派なものの後で、これを見たら、瑠璃はがっかりするかもしれない。いや、きっとするだろう。するに違いない。
 あれから、透は手伝いをがんばって、いくばくかの小遣いを得た。とはいえ、子どもの小遣いだ。額はしれている。透には、人形も洋服も買えない。こうすることしか、できなかった。
 しかたない……でも、あまりにみじめで、泣きたくなった。
「どうした、透。食べてないな」
 秀彦が近づいてきた。
「遠慮なく食べてくれよ。鳥のからあげ、うまいぞ」
「おじさん。ぼく、帰ります。お父さんの手伝いをしなくっちゃ」
「何を言うんだい。今日は泊まっていく予定だろ。そうお父さんにも言ってあるはずだが」
「でも、うさぎの世話は、ぼくの仕事だから……瑠璃ちゃんとの約束だし」
 今、別荘にいるうさぎは、昨年の夏、森で怪我していたのを、瑠璃と透が連れてきたものだった。瑠璃は、うさぎを連れて帰るといって聞かなかった。それを、透がしっかり世話をする約束をして、どうにか納得してもらったのだ。
「あの、これ……あとで瑠璃ちゃんに渡してください」
 透は筒を秀彦に押し付けると、部屋を飛び出していた。
「透、待ちなさい、透!」
「お父さま、どうしたの?」
「透が帰ると言い出して、飛び出していったんだよ。この辺のことなんてわからないだろうに……ちょっと行ってくるよ。そうそう。これ、透君がお前にって」
 瑠璃は筒を受け取り、中を開けた。
 一枚の紙が入っている。広げると、瑠璃がいた。
 色とりどりのクレヨンで描かれた瑠璃は、満面の笑みで、腕にはウサギを抱いていた。
 そして、下には下手な字で「たんじょうび おめでとう」と書いてあった。
「おやまあ、これは」
「かわいらしいこと」
「子どものプレゼントだからな」
「それにしてもすごい色使いだ」
「子どもらしくていいんじゃないかしら」
 瑠璃の手の中を見て、大人たちが笑った。
 それは、もちろん、微笑ましいからであった。だが、瑠璃は、それがひどく気に食わなかった。
「あなたたちに、笑う権利なんてない! 透は、一生懸命、私のことを考えて描いてくれたのを、笑うなんて、許せない!」
 瑠璃は絵をにぎりしめて、部屋を飛び出した。もちろん、透を追うためだ。
 部屋の中が静まり返った。
「私は、瑠璃ちゃんに賛成ですね。あの絵を見て笑うとは、あなたたちは目がなさすぎる」
 招待客の1人が言った。
「ところであの子はお幾つですか?」
「七歳……来月八歳になるはずです、画伯」
「そうですか。七歳であれだけ描けるならば、素晴らしい才能です。デッサン、色使い……天性のものを感じますよ。ぜひ、彼を紹介してください」
 白い鬚の老人は、真剣な顔でうなずいた。

   ☆

「透っ! そこにいるんでしょ、透!」
 瑠璃は庭の木に呼びかけた。
「わかってるのよ。だって、透は困った時、いつも木に登るんだから」
 木ががさっと音を立てた。でも、返事はない。
「それなら、私がそっちに行くわよ!」
 瑠璃はスカートをまくりあげた。
「やめて! 服が汚れちゃうよ」
「かまわないわよ!」
「……わかった。降りるよ」
 透はゆっくりと木から降りてきた。
「ごめん……」
 透はうなだれた。
「透、プレゼント、ありがとう」
 瑠璃は絵を広げて言った。
「ごめん……」
「どうして謝るの?」
「だって、ぼく、そんなものしか用意できなくて……ぼく、お手伝い、がんばったけど、お金なくって……クレヨンと、紙しか買えなかった……」
「私、今日もらったプレゼントで、これが一番好きよ」
 瑠璃はほほえんだ。
「いいよ、なぐさめてくれなくても……」
「ほんとよ。これが一番いいわ。だって、一番、気持ちがこもってるもの。それに、とっても可愛く描けてる。それから、ウサギも……透って絵が上手なのね。ねっ、来年も、私に絵を描いてよ。再来年も、その後も、ずーっとずーっと……お誕生日ごとに、私の絵を描くの。おばあちゃんになってもよ。私、自分の部屋に、透の絵を飾るわ。1年ごとに、1枚ずつ増えていくの。おばあちゃんになるころには、天井までもが透の絵で埋め尽くされるの。そうしたら、きっと、すっごく幸せな気持ちでいられるわ」
 瑠璃は透の手を取った。
「約束してよ。ずーっと、私の絵を描いてくれるって」
「でも、瑠璃ちゃんが大人になったら、誰かと結婚するんだよ。そうしたら、ぼく、瑠璃ちゃんの絵は描けないよ……旦那さんになる人が、怒るもの」
「透が私と結婚すればいいのよ。私、透のこと大好きだもの。透は、瑠璃が嫌い?」
 透は首を横に振った。
「ぼくだって、瑠璃ちゃんが大好きだよ」
「じゃあ、結婚しましょうよ」
「瑠璃ちゃんのお父さんが嫌がるんじゃないかな」
「大丈夫よ。だって、お父さまも透が好きだもの」
「そうかなぁ」
「そうよ。絶対よ。だから、大丈夫よ。だから、透は、ずっと私の絵を描くのよ。他の女の子は描いちゃダメよ。約束っ」
「うん。わかった。ぼく、瑠璃ちゃんの絵を描くよ。毎年描くよ。ずっと瑠璃ちゃんのそばにいるよ」
 透は瑠璃の小指に、自分の小指をからめようとした。
 だが、瑠璃はすかさず、自分の手を後ろへ引っ込めてしまった。
「ダメよ。結婚の約束だもの。指きりげんまんじゃ。結婚の約束は、誓いのキスをするものなのよ。この間、結婚式でやってた」
 瑠璃は目をつぶった。
 透はどきどきしながら目をつぶり、瑠璃の頬に自分の唇を軽く押し当てた。
「約束ね」
「約束だ」
 二人はどちらからともなく手をつないだ。
 透を呼ぶ秀彦の声が聞こえてきた。
「戻りましょ」
「うん」
「でも、まだお父さまには内緒よ」
「わかった」
 二人はもう一度こっそりキスをしてから、瑠璃の父親の元へ走った。

   ☆

 この時の絵こそが、あの有名な竹芝透画伯の七歳の時に描いた絵であり、彼の代表作「瑠璃像」の最初であった。

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